その通りで、性格調査には、測定しようとしている性格そのものが回答するかどうかに影響するという、構造的な問題があります。
例えば、次のような可能性があります。
- 協調性が高い人:依頼を断りにくく、回答しやすい。
- 誠実性が高い人:調査への協力を責任と捉え、回答しやすい。
- 外向性が低い人:訪問調査で他人と接することを避けるかもしれない。
- 開放性が高い人:心理テストそのものに興味を持ちやすい。
もちろん、これらは仮説であり、実際の回答傾向とは限りません。
通常の無回答バイアスより厄介なのは、回答する確率が、知りたい変数そのものに依存している可能性があることです。
実際に、これを裏付ける研究があります。
2026年に発表された研究では、協調性と神経症傾向によってアンケートを最後まで回答する確率が系統的に異なることが示されました。協調性が高い人ほど完了しやすく、神経症傾向が高い人ほど完了しにくい傾向でした。
2025年の別の研究でも、誠実性が高い人ほど継続的な調査から脱落しにくいと報告されています。
ただし、初回の協力拒否と、途中での回答中断や継続調査からの脱落は異なる行動です。調査方法によって偏りの方向も変わります。
ここから重要なことが言えます。
性格調査は、無作為抽出しても、回答者の性格分布が母集団から系統的にずれる可能性があります。
しかも、拒否者の性格が分からない以上、その偏りの大きさを直接把握するのは難しい。
そのため、先ほどの日本人のビッグファイブ平均値も「日本人の真の平均値」ではなく、無回答バイアスが残っている可能性のある推定値として解釈するのが適切です。
これは単なる理論上の懸念ではなく、性格研究における実証された方法論上の問題です。